平成23年度 七面山参拝

平成23年7月23日(土)、24日(日)の2日間にわたり山梨県南巨摩郡にある七面山(標高1,989m)への参拝登山が行われました。七面山は日蓮宗の総本山である身延山久遠寺の奥の院にあたる信仰の山で、日蓮大聖人の高弟である日朗上人が開いたと言われています。

今年は男性18人、女性8人総勢26人の参拝団となりました。年齢は2歳から82歳と幅広く、この2日間はお上人に命も名誉も肩書きもすべて預け、自分の心願成就と罪障消滅、六根清浄のためだけに団扇太鼓に合わせお題目「南無妙法蓮華経」を一心に唱えて登ります。

1丁から50丁(山頂)からなる七面山を7時間かけて登ります。山門でお上人と参加者全員が2日間の登下山の安全祈願を祈り登山開始です。2丁目に水子観音堂があり、ここでお供物を供えご供養をします。休憩箇所は13丁、23丁、36丁にあり、毎年13丁で昼食のおにぎりをいただきます。休憩所にはお茶や冷たい飲み物、草団子、ところてん、おでんなどいただけるので、エネルギー補給は大丈夫です。

23丁過ぎた富士山が望める場所で、お上人による参加者全員の各家先祖代々背後に頼る処の精霊等に追善供養が行われます。40丁では無縁堂があり、ここでもお供物を供えご供養をします。途中、2~3丁ごとにお上人は説法をしてくださいます。ただ登ることだけではなく、お題目「南無妙法蓮華経」の意味やありがたさ「法華経」の意味など教えていただきこの説法に感激します。信養寺の参拝登山の魅力はこの道中にあると思います。日々の生活では忘れがちなことですが、生きていく上で大切な「異体同心」「因果応報」などの意味などを教えていただきます。また、一人一人に声をかけ体調の思わしくない人には「加持祈祷」を施し、参加者同志も助け合い支えあう姿が見られるようになり、他人のリュックを2~3個持ってあげる人や、背中を押してあげる人、マッサージをしてさし上げる人など自然と助け合いの精神が生まれ、13丁を過ぎたころには26人の団体も「異体同心」となり団扇太鼓も唱題も息が合ってきます。夕方頂上に着く頃には全員が魂の感動を味わっています。

宿坊「敬慎院」に到着し夕食を取り「七面大明神」様のご開帳をしていただきます。登った人しかお姿を拝観することができないので感動します。一心に感謝御礼をします。

そしていよいよ信養寺にしかできない深夜の修行「二の池」へ向かいます。それぞれが祈願を携えて苦しい登山をした集大成をこの「二の池」のお社で、一人一人一心に成就していただくため祈り言上します。祈願文を燃やし灰になったものを池に埋めます。すべて終わり宿に帰ると深夜1時ごろになっています。

「敬慎院」のお坊さんの話によりますと「夜の修行にでかける熱心なお上人は、信養寺のお上人だけです。あなたがたは幸せですね」と言われ、お上人の偉大さに敬服しました。

翌朝は4時に起床し七面山頂上から富士山越しのご来光を拝します。今年は残念ながら富士山が雲に隠れており見ることはできませんでしたが、早朝の澄み切った空気の中で拝むご来光はすがすがしい感動を覚えます。ご来光を拝んだ後は、休憩をはさみながら約4時間かけ下山し、26人全員が滝行へと向かいます。

滝行の安全を願ってお上人が祈願し、お清めの塩が全員にかけられます。今年の「お滝」は、数日前の台風の影響で例年よりも水量が多く、滝へと降りると滝壺からとても強い風が吹きあがり、ふんどし姿や行衣の参加者はガチガチと震えるほどの寒さです。始めにお上人が滝に入り読経をされます。お上人の読経の後、参加者が順番に滝に打たれます。滝に入るとその水圧で呼吸するのも苦しいほどで、声をだせるような状況ではないのですが、自然と懸命に大きな声で「南無妙法蓮華経」とお題目を唱えています。滝から出た後、冷たい水に打たれ体は冷え切っているはずですが、不思議と寒さを感じません。爽やかな心地よい感覚になります。

この2日間の参拝登山で、絶対信を持ちお題目「南無妙法蓮華経」を唱えることの大切さを再確認できました。この参拝登山の醍醐味は忘れがたいものになります。

滝行が終わると、バスで30分ほどの場所にある下部温泉郷の下部温泉ホテルへ移動し、2日間の参拝登山の疲れを癒し、温泉と豪華な昼食をいただきます。ここで昼食をとりながら、参加者それぞれが参拝登山の感想を発表して、これからの日々への気持ちを新たにします。この発表でお上人のご子息が「今年は他人の役に立つことだけを目的に登りました」とおっしゃっていましたが、そのとおり1人でいくつものリュックを背負い、肩を貸して登っていました。親の背中を見て成長しているのだなと感心しました。こういう若者がたくさん参加してくれることを祈りたいと思います。

今年も2日間の七面山参拝登山が無事に終えられたこと、お上人には厚く感謝御礼申し上げます。また参加者の皆様には大変お世話になり感謝申し上げます。

また来年も7月に予定をしておりますので、興味のある方はこちらの問合せフォーム、またはお電話(03-3607-0931)にてお問合せください。(記録:中村和代、東)

※異体同心

身体はそれぞれ別であっても、信心の志を同じくしていくこと。また日蓮大聖人は「異体同心なれば万事を成じ、同体異心なれば諸事叶ふ事なし」と示されています。

※因果応報

過去における善悪の業に応じて、現在における幸不幸の果報を生じ、現在の業に応じて未来の果報を生ずること。