2015年度 七面山参拝記録

信養寺の恒例行事「七面山参拝修行」が、平成二十七年八月二十九日(土)、三十日(日)の二日間にわたり行われました。小林上人を参拝団長に六歳から還暦を過ぎた方までの十九名(男性十四名、女性五名)の方が参加しました。

また、登山できない方(九名)は麓に残り、登下山の無事を祈っていただくとともに、日蓮宗の総本山である久遠寺や妙石坊、上澤寺など日蓮大聖人ゆかりの寺院を参拝しました。

登山口の鳥居をくぐるとすぐに当山を開いた日朗上人の石碑が現れます。

日蓮大聖人は七面大明神をお祀りしたいと考えていたそうですが、残念ながら叶えられませんでした。その思いを引き継いだ弟子の日朗上人が当山を開かれました。ここで、小林上人以下総勢二十八名で登下山の安全を祈願し、午前十一時半あいにくの雨模様の中ではありましたが、全員元気に「ご修行」へとスタートしました。

登山口から山頂まで標高差一、二00mの険しい山道(この道中は一丁から五十丁(山頂)までと現されています)二、000mの山を六~七時間かけて登ります。山頂までの間に三か所(十三丁、二十三丁、三十六丁)の休憩所があり、名物の草団子などいただくこともでき、ホット一息つくことができます。

二丁にある水子観音堂ではお供物をお供えし、水子さまのご供養をします。ここで麓に残る方々と別れ、七面山登山が始まります。大木に囲まれた山道を進むと三十丁あたりで、唯一視界が開け遠く富士山が望める場所があります。ここで、参加者の先祖供養と背後に頼る霊魂に追善供養が行われます。四十丁には無縁堂があり、ここでもお供物をお供えし無縁仏のご供養をします。

登山の道中は団扇太鼓をたたき、お題目「南無妙法連蓮華」を唱えながら、全員の気持ちを一つ(異体同心)にして登って行きます。急坂を登るので三丁から四丁ごとに休憩を取りますが、この時にお上人は説法をして下さいます。「法華経」やお題目「南無妙法連蓮華」の持つ意味やありがたさなど、初めて参加される方にも分かりやすく教えていただけます。今年、初めて登山された方から、他宗派の自分がお題目「南無妙法連蓮華」を唱えていいのでしょうか?との質問がありました。これについて、お上人から指名を受け私が以下の通り説明させていただきました。

お釈迦さまは、三十才で覚り(さとり)を開かれ五十年間にわたり法を説かれました。しかし、お釈迦さまのお話は非常に難しい内容で民衆には理解することができませんでした。そこで、お釈迦さまは、最初は小さな子供たちでも理解できるように「たとえ話」のように分かり易く説明し、段階を追ってレベルアップする方法をとりました。現代でいえば、幼稚園→小学校→中学校→高校→大学と進んでいくのと一緒です。華厳経、阿含経、方等経、般若経、と続き最後に「法華経」を説かれました。つまり「法華経」は、お釈迦さまの教えの集大成として完成されたもので、法華経以前のお経(爾前の経)が全て備わった最も優れたお経「最勝経王」と言われ、お題目「南無妙法連蓮華」を唱えることでお釈迦さまの智慧を授かることができるのです。ですから、他宗派の方がお題目「南無妙法連蓮華」を唱えても全く問題ありませんし、むしろ、唱えた方がよいのです。(後半部分は、お上人にフォローしていただきました)登山の道中でのお上人の説法は、信養寺参拝団の一員しか聞くことのできない貴重な体験です。私は十四回目の登山ですが毎回、新たな感動を与えていただけます。

七面山はかなりの急こう配を登下山するため「苦行」と言われています。特に登りはキツイの一言ですが、四十五丁を過ぎると永遠に続くかと思われた山道が開け「和光関」が現れます。鐘つき堂で初参加の四名の方が鐘撞きを行い、午後七時ようやく宿坊「敬慎院」に到着。夕食(もちろん精進料理)を頂いた後、本堂で七面大明神様のご開帳をしていただきます。神々しいそのお姿に感動しここまで登ったものにしか味わえない充実感を覚えます。

午後九時、ここからが信養寺参拝団にしかできない「夜の行」を行うため、七面大明神様が住まわれている二の池のお社へと向かいます。七面大明神様は日蓮大聖人の説法を聞き「法華経の守護神として法華経を信仰する人々を守り、心の安らぎと満足を与え続けます。」と日蓮大聖人にお誓いした法華経の守護神です。

守護神である七面大明神様に願い事を叶えてもらうため、それぞれが祈願するところを携え「苦行」と言われる登山をしてきたのです。お社の前で一人ひとり祈願成就を一心に言上(心読)します。お上人から個々にご祈祷をしていただいた後、祈願文を燃やしその灰を二の池へ流し、思いをこの池に埋め参加の皆様の心願を叶えていただく「夜の行」のメインが終了。その後、奥之院を参拝して宿坊の「敬慎院」へ戻ると深夜十二時過ぎになっていました。薄い巻布団にくるまって就寝。

翌朝は、午前四時半に起床。天気が良ければ富士山からのご来光を拝めますが、前日に続きあいにくの雨模様。ご来光はあきらめ五時に下山開始です。九時に出発地点の日朗上人の石碑前に全員が無事到着し、御礼のお経を唱え、これから滝行へと向かいます。

気温も低く連日の雨の影響で水量も多くて、今年の「お滝」は大変だなと思いつつふんどし、腰巻行衣の姿で、お上人にお清めの塩を掛けていただき、滝壺へ下りていきます。滝壺は冷たい風が吹き抜け寒さで震えが止まりません。始めにお上人が滝に入り読経をされながら滝に打たれます。お上人が滝の壁を両手で掴み、読経される姿はまさに修行僧そのもの。尊敬の一言です。滝に打たれると呼吸もできない程の水量と水圧が両肩にのしかかってきます。声も出せるような状況ではないはずですが、自然と「南無妙法連蓮華」を大きな声で唱えています。お上人が各自の背中に数珠をあてご祈祷していただき、滝行も終了となります。冷たい水に打たれ体は冷え切っているはずですが不思議と寒さは感じず、心地よい爽快感が残ります。

バスで俵屋旅館さんへ移動し、昼食と疲れ切った足腰を癒してくれるお風呂をいただきました。昼食をとりながら初参加の方などから、今回の参拝登山についての感想を伺いました。この二日間の貴重な体験はこれからの日々に必ず役立つものと思います。

登下山、夜の行、滝行と七面山での信養寺の行事も無事終了し、午後一時バスで帰路につきました。車中熟睡。午後五時、新宿駅に到着し解散となりました。

二日間に渡る「七面山参拝修行」を今年も無事終わることができました。お上人に感謝御礼申し上げます。今回、参加されました二十八名の皆様お世話になりありがとうございました。

来年も八月最終の土日に「七面山参拝修行」を行う予定です。多くの方々の参加をお待ちしております。

信信養寺 広報 中村正弓

七面山参拝団、身延コース

小林栄量上人の奥様先導の元、総勢九名、七面山登山の方々と七面山山門にて二日間の参拝登下山の安全祈願を全員で祈りました。
二丁目の水子観音堂まで一緒に登り全員でご供養をしました。
十二時十五分 七面山登山の方々を見     送り下山
十二時五十分 身延山平多屋にて昼食をいただく
十三時四十分 身延山久遠寺参拝~日蓮大聖人様御廟所参拝~小室先生墓所参拝
十五時 妙石坊参拝(御開帳、ご回向、ご祈祷、説法)

妙石坊は七面大明神様が現れた地であります。高座石というのがありこの石の上で日蓮大聖人様が説法をしていますと、いつも妙齢な女性がおりました。皆が不審に思っていました。日蓮様は女性の正体を知っていましたので『正体を現してやりなさい』と言って、花瓶の水を女性に注ぐと龍に変じて『私は七面山の池に住むもので、この末法の世を救うために現れました。これから法華経を信仰する人々を守護することを誓います』と言って七面山の方向に立ち去りました。
高座石と杉の大木には、しめ縄がかけられて聖域な場所ですが、私には温かく穏やかな優しい空気を感じました。
七五〇年前に日蓮大聖人様が説法をなさっていた同じ場所にいられることに感動し、感謝いたしました。同じ頃、登山中の方々も七面大明神様のご加護の元、頑張っておられるのではと思い祈りました。
妙石坊ご住職の法話
「不平、不満、愚痴」を言わない「心の宝を持つ」奥野上人の説法は私達九名に全て通じることを的確に優しく分かりやすく、少し耳が痛いお話しをして下さいました。人間は生まれて来る時も何も持たず、亡くなる時も何も持たない。持って行けるのは「心の宝であるお題目『南無妙法蓮華経』だけである」と仰いました。不平、不満、愚痴を言わず常に明るい心と感謝の心を持つことが大事である。命が終わるまで日々成長、努力して生き切ることが重要であると、そういう心で生きると最後には自然と『良い人生だった』と感謝できる境地になれると教えていただきました。 人の縁というものも偶然はない、先祖から自分、また子孫へと繋がっている。妻は夫に、夫は妻に、親は子に、子は親に、自分の周りの人(憎む相手にも)全て感謝して生活できるよう心かげていると幸せになれると仰っていました。もっと沢山お話しをうかがいましたが、以上のことが主なことだと思います。有難いお話しでした。直ぐにも実践できることです。とても感動しました。
いつでも、どこでも簡単にできることですが、こういう境地で毎日生活することがいかに大変なことです。耳が痛かったです。私だけでしょうか?
お上人のお人柄をうかがわせる妙石坊でした。
十六時三十分 上澤寺参拝(銀杏寺とも言われる逆銀杏のあるお寺)
このお寺の由来は日蓮大聖人様を亡き者にしようとする他宗派の計りで、毒を潜ませた饅頭を日蓮大聖人様に献上しました。
その場に居た白い犬が、その饅頭を食べると倒れてしまいました。
身替わりとなった白い犬に毒消しの秘妙符を与え再生されましたが、その後寿命がつきた白犬を上澤寺の庭に手厚く葬り、その塚に日蓮大聖人様の銀杏の杖を墓標として立てたところ、不思議にも根付いて今日までに大樹になりました。この銀杏の実は葉の所に成り、その実の全てが犬の牙の形をしている世界でも、この銀杏だけだそうです。(お葉つきいちょう)
この銀杏を見ただけでも日蓮大聖人様の霊力を感じさせるものでした。
七四〇年間ずっと成長し続ける銀杏は、ただただ不思議な大樹木で、見たことない景色です。お薬のお寺として知られているように、秘妙符、目薬、軟膏等々漢方沢山ありました。

十七時十五分 俵屋旅館に到着 五時間の修行でした。魂の学びと感動を与えていただきました。
足腰の痛みをこらえ、支えあい、助け合って異体同心の参拝をしました。
七面山に登られた方には申し訳ない程の夕飯をいただき、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

ニノ池の行の時間に合わせ、私達も祈願いたしました。
八月三十日(日) 雨
午前八時には全員で山門前にて、下山して来る方々をお迎えいたしました。その後滝行へと合流いたしました。

企画をして戴きました小林栄量上人の奥様には感謝御礼申し上げます。

記録 中村和代