七面山参拝修行

七面山参拝が、平成三十年八月二十五日(土)、二十六日(日)の両日にわたり行われました。信養寺住職小林上人と法華経寺の杉浦上人以下、男性十七名女性十名総勢二十七名の方が参加されました。信養寺の七面山参拝修行は、「自身の六根清浄」と「七面大明神様へのご祈願」さらに「滝行」と実に中身の濃い二日間です。このご修行では、毎年雨具が欠かせないものとなっていましたが、今年は天候に恵まれ山頂では雄大な富士山を二日間に亘って間近に見ることができました。

登山の道中は団扇太鼓をたたき、お題目「南無妙法蓮華経」を唱えながら、全員の気持ちを一つ(異体同心)にして登って行きます。大木に囲まれた山道を進むと三十丁あたりで、参加者の先祖供養と背後に頼る霊魂に追善供養が行われます。四十丁には無縁堂があり、ここでもお供物をお供えし無縁仏のご供養をします。休憩時に小林上人が説法をして下さいます。今年も色々な説法をしていただきました。「法華経」やお題目「南無妙法連華経」の持つ意味やありがたさ、「自力本願」「他力本願」「絶対他力」の本当の意味、「業(カルマ)」の消滅とはどういうことかなど、初めて参加される方にも分かりやすく教えていただきました。信養寺参拝団の一員しか聞くことのできない貴重な体験です。永遠に続くかと思われた山道が四十五丁を過ぎると辺りが開け「和光関」が現れます。鐘つき堂で初参加の五名が打鐘を行い、宿坊の「奥之院」へ向かいます。例年ですと懐中電灯が必要な時刻なのですが、今年は日の入り前に到着でき「二の池」あたりで、夕陽に染まる「赤富士」を拝むことができ、息をのむような雄大な光景に圧倒されしばらく見とれてしまいました。七面山はかなりの急こう配を登下山するため「苦行」と言われています。特に登りはキツイの一言ですが、体力自慢の人でも体が重くなり時には動けなくなってしまうこともあります。七面山は「霊山」なので、亡くなられた方などゆかりの深い親族の方が、その人を頼って来られているからです。勿論、目には見えませんが、頼って来られた方を背負って登山しているから大変です。私は今回で十六回目の登山となりますが、これまでに経験したことのない辛い登山でした。体が重い、頭が痛い、足が上がらない、食べ物も喉を通らない状態で、自分ではわかりませんが顔色も真っ青だったそうです。小林上人のご祈祷のおかげで、かろうじて山頂にたどり着くことができました。宿坊の「奥之院」では、七面大明神様の御開帳をしていただきました。七面大明神様は「法華経の護法神として法華経を信仰する人々を守護し、心の安らぎと満足を与え続けます」と日蓮大聖人にお誓いした法華経の守護神です。

御開帳とは、神仏のお姿を拝することだけではなく、そのお姿を拝見することで自然と自らの心も開かれることを意味すると「奥之院」のご住職から伺いました。自分の心が開かれているなどと考えたこともなかったので大変ありがたいお話を聞くことができました。その後、二の池のお社へ「夜の行」へと向かいます。お社の前で一人ひとり祈願成就を一心に言上(心読)し、小林上人が背中に団扇太鼓を当てご祈祷をして下さいます。各自の祈願がこの地に残るよう、祈願文を燃やしその灰を二の池へと流し「夜の行」も終了となります。このご祈祷中にとても不思議なできごとがありました。石碑に灯した蝋燭の火に「かたつむり」が向かっていくという考えられないような事が起こりました。炎を前にしても臆せず前進し、触覚が燃えて、ずり落ちても再び火に向かって登って行くということを繰り返し行い最後は何事もなかったかのように、帰って行ったそうです。この話を聞いて難題と思えることでもあきらめずに進んでいけと言われているように感じさせられました。翌朝は午前四時に起床、一面真っ白な雲海に浮かぶ富士山と「ご来光」を見ることができ感動いたしました。六十回以上登山されている小林上人でも二日続けてのこのような富士山の光景は見たことがないそうです。
下山後、出発地点の日朗上 人の石碑前に全員が到着し、無事に登下山できたことへの御礼を言上し「滝行」へと向かいます。お上人にお清めの塩を掛けていただき、滝壺へ下りていきます。始めに小林上人が滝に入り読経をされながら滝に打たれます。小林上人が滝の壁を両手で掴み、読経される姿はまさに修行僧そのもの。尊敬の一言です。大雨の影響で例年以上の水量が両肩にのしかかって、呼吸もできない程です。声を出せるような状況ではないはずですが、自然と「南無妙法連華経」と大きな声で唱えています。小林上人が各自の背中に数珠をあてご祈祷してくださり、滝行も終了となります。滝行の後、下部ホテルに向かい昼食をいただきながら参加された方々から、今回の参拝修行についての感想を伺いました。この二日間の貴重な体験は、私たちのこれからの日々に必ず役立つものと思います。

また、登山団とは別に小林上人の奥様と二人のお姉様は、身延山久遠寺と御廟所、奥之院思親閣、日朝堂にて時ならぬ猛烈な暑さの中「七面山参拝修行」の安全祈願をして下さいました。大変な苦行のようでしたが、お陰様で二日間の「七面山参拝修行」を今年も無事終わることができました。

小林上人、杉浦上人、信養寺の皆様に感謝御礼申し上げます。今回、参加されました皆様大変お世話になりありがとうございました。来年も八月最終の土日に「七面山参拝修行」を行う予定です。多くの方々のご参加をお待ちしております。(広報・中村)